~エピローグ~
僕らのニュージャポニズム!
日本人の感性を形作っている日本語の秘密を、村長はこう語っていました。
「日本人は虫と話をするために、日本語を生んだんじゃないかな」
日本人は、自然の中で一番小さくて繊細な声をちゃんとキャッチして、自然と共存共栄して生きていくために日本語を生んだんじゃないかと。たしかに、日本語の周波数帯は、125~1500Hzで、まさに自然音に近い周波数なのです。
京都には「鈴虫寺」という年中鈴虫が泣いているお寺がありますが、海外では「騒音(ノイズ)寺」と言われています。特に欧米の人にとっては、虫の音はノイズとして聞こえるので、やかましくて入れないくらいなんだそうです。
そして、村長の言う通り、虫の鳴き声や葉がすれる音をメロディーのように美しく感じられるのは、日本人とポリネシア人だけだと研究でもわかっています。
『日本人の脳』の著者・角田忠信教授が、聴覚の違いを切り口に日本人の脳がほかの民族の脳と違う点を生理学的に追求した結果、驚くべきことがわかりました。
日本人が特別というよりも、その秘密は「日本語」にあるとわかったのです。
その日本語の秘密を僕は『ニッポンのココロの教科書』という本で書かせてもらったことがありまして、そこから引用しますね。
西洋人は虫の音を、ノイズ(雑音)を処理する右脳の音楽脳(意味あるものとしては受け取らない脳)で処理するのに対し、日本人は虫の音を左脳の言語能で、会話のような「声」として受け止めると実験で明らかになっています。
日本人の脳は、虫や動物の鳴き声、波、風、小川のせせらぎなどを、ノイズではなく「言語」として捉えることがわかったわけです。
春の小川はさらさら流れるし、秋の虫はチンチロチンチロ、スイッチョンスイッチョンと鳴くし、桃が川を流れる音は「どんぶらこどんぶらこ」なんです(笑)。
そして、自然の音を、人の声と同じように聞きます。だから、日本語は、自然界の音・声を象徴的に表したオノマトベ(擬音語・擬声語・擬態語)が圧倒的に多いんです。これは縄文大和言葉の名残と言われています。
たとえば、「風がそよそよ吹く」。これ、風の音を聞いてるわけではないんです。どんなに耳を澄ましても風の音は「そよそよ」とは聞こえてこない。音ではなく、風の「声」を聞いているのです。
村長の言う「日本人は虫の声が聞こえていた」というのはこの感性のことでしょう。
その感性は、今も日本の漫画の中に色濃く息づています。漫画はオノマトベだらけです。例えば静かな場面は「シーン」と描かれます。静かな時、シーンって音はしてないんです。「シーン」は空間の「声」として聞いているんです。
言葉は、民族が歴史の中で培ったきた感性が映し出されたものであり、言葉こそ文化です。日本語には歴史上、戦争などによって一度も言葉を失うことなく現在に至っている、奇跡的に守られた稀有な言語なのです。
村長の言う通り、日本語が”日本人”の感性の秘密なんです。
日本人とは”日本語族”なわけです。
そして、面白いのは、外国人であっても、日本語で育てられると、完全な「日本人脳」にかわるのだそうです。
なぜ変わるのか。日本語と外国語には、決定的な違いがあったのです。それが「母音」です。
これは、世界でも類を見ない、母音を主体とする日本語の特徴から生まれてくる違いだそう。お隣の韓国や中国系の方も言語から考えると、脳は完全に「西洋型」です。
実は、日本語の特徴となる母音が、自然の音と共鳴しやすいのです。 今日はココまでです・・。
次回「エピローグ2」に続きます。しかし、はじまりの2022年4月30日が起点となって、出版が2023年11月3日とは・・
まさに奇跡の1冊かもしれません。 代筆、温王子でした・・・
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