低血糖と怒り

 空腹が続くと、元気が出ません。「腹が減っては、戦はできぬ」の言葉どおり、すっかり元気をなくしてしまいます。この状態は低血糖の体調ですが、この後の、からだの反応を知っておくことは大切です。動物は空腹から脱却するために、交換神経を緊張させ、自律神経の力で血糖を上昇させようとします。

 例えば、いつになく空腹だったので食堂でカツ丼を注文したとしましょう。それなのに、カツ丼がなかなか出てこなかったら、あなたはどうなりますか。だんだんイライラしてきて、ついには怒鳴ってしまうかもしれません。ところが、実はこの時点では、すでに血糖が上昇していて、空腹のことは忘れているのです。

 あるいは空腹時に、用事ができてからだを動かすと、あちこち動き回っているうちに空腹は感じなくなっていることがあります。これは、交感神経緊張によって血糖が上昇してしまったからなのです。

 マウスの実験で驚いたことがあります。アドレナリンやノルアドレナリンの交感神経刺激物質を注射すると、激しい血糖上昇が起こるのです。つまり、物を食べなくても血糖を上げることができるわけです。

 逆に、この反応がからだを危険に導くこともあります。これまで説明してきたように、甘い物を摂ると、すぐに血糖は上昇しますが、下降も早いのです。ですから、甘い物を習慣にしていると、頻繁に補給しないと自分の血糖を維持できなくなってしまうのです。低血糖の状態でストレスを受けてしまうと、そこから脱却するために、怒りが爆発することになります。

 今の日本の子供たちは、ふつうに生活しているつもりでも、お菓子やジュースなどで糖分過多の状態になりやすくなっています。大人が食生活に気をつけてあげないと、甘い物ばかり食べてしまいがちです。そんな子供たちが低血糖の状態になって、ストレスで怒りが爆発すれば、他人を傷つけてしまうことにもなりかねません。逆に、怒りを内に閉じ込める性格の子供なら、激しい内的葛藤にさらされて精神的破綻へと進んでしまう可能性もあるのです。

 これからの教育や医学は、食についても十分に考慮しないと、問題解決はますます困難になるでしょう。   以上です・・。

 

最後は少し怖いくらいの下りでしたが、親御さんへの教育も不可欠だと思います。知ってさえいれば・・ということにならないようにしたいものです。

温王子でした・・・