感謝の言葉

 先日、若い女性から電話があって、70歳代の母親について相談されました。おなかの調子が悪くなり病院に行って検査をしたところ、大腸ガンと診断されたそうです。手術を勧められ、3週間後に予定が入ったというのですが、この方の話の中で気になったのは、医師も患者本人も家族も、病気になった原因をまったく問題にしていないことでした。

 患者さんが病気になる前に、なにかつらいことはありませんでしたかと尋ねたところ、弟の精神的な病気のことで心労が続いていたと話してくれました。

 この方は、おそらく、その悩みが大きなストレスとなっていたのでしょうが、心のつらさには、それが病気の原因だと分かっていても、とり除けないものも多いと思います。そのような場合は、心の持ち方を変えて、苦しみから脱却する必要があるのです。

 そこで登場するのが、感謝や祈りの言葉ではないでしょうか。「ありがとうございます」「よろしくお願いします」というような言葉を、1日に2回くらい口にしてみるのは大切なことなのです。聴覚を通して脳に入り大脳新皮質で理解された、それらの言葉は、旧皮質や大脳辺縁系に記憶され(特に海馬で)、やがて自律神経系の中枢である視床下部に働いて、心の安定をもたらすでしょう。

 もし心の悩みを抱えたまま、こうした努力をまったくせずに、手術や抗ガン剤、放射線などの治療に向かうと、病気の根本原因は除去されていないのですから、いずれガンが再発することになります。そうなってしまうと、お年寄りなら、体力も免疫力も余力は尽きているでしょう。やはり原因を正しく追究し、そこから逃れる手立てを考えなければなりません。

 また、生きている幸運に感謝する心も必要です。35億年の生命の歴史を生き抜いてきた先祖の存在、それに連なる自分は、驚くべき存在なのです。日常的なことに埋没していると、生きていることのありがたさを忘れてしまいがちです。少し前まで、日本には神棚や仏壇がある家も多く、神仏に手を合わせたり、先祖に珍膳を上げ、鉦を鳴らして祈る習慣がありました。

 物事を科学の力だけで解決しようとすると、目先の治療効果に心が奪われてしまい、本当の治療の流れが忘れ去られてしまうのです。特に日常に埋没して忙しく働いている医療関係者は注意が必要です。忙しさは、狭い思考で生きることに繋がってしまうのです。   以上です・・。

 

忙しさは不幸なのかもしれませんね。しかし、安保先生が「いせはくさん」に思えてきました~(笑)。   温王子でした・・・