分析科学だけではこの世のすべての現象は理解できない

温王子です。今日まで「からだの仕組みを理解する」という、お勉強がメインでした。安保先生が言う「感性」を意識しましょう。では・・。

 

 前にもお話ししたように、私たちのからだは細胞から構成されていて、細胞は一つの生命体として完成しています。現代医学は、この構成単位を追求することによって研究が進められています。細胞の構成単位は細胞内小器官に分けられます。DNAの入った「核」があり、蛋白合成をする「小胞体」があります。また、代謝を行うエネルギー源をつくるための「ミトコンドリア」があります。エネルギーを得て、DNA⇒RNA⇒蛋白合成と進んだ生成物は「ゴルジ体」を経て集合し、「細胞膜」に移送されて働き出すのです。細胞膜自体も細胞内小器官と呼んでもよいでしょう。

 現代医学の研究テーマの対象は、このような細胞内小器官で起こる働きや構成分子群が中心になっています。細胞の興奮、興奮で起こるシグナル伝達、構成巨大分子群とそれを支配する遺伝子、遺伝子の発現機構などのテーマが、盛んに研究されています。分子の働きを知るには、その分子と対応している遺伝子をノックアウト(働かなくする)したり、強発現させたりすればよいので、マウスを使った実験が花盛りです。これらは、ノックアウトマウスとかトランスジェニックマウスとか呼ばれます。

 しかし、このような流れで研究が進んでも、病気の治療に役立つことはほとんどないのが現状でしょう。分析科学だけでは、この世のすべての現象は理解できないからです。何度もいうように、多細胞生物としての生体は、単なる分子、遺伝子、細胞内小器官、細胞の集合体ではありません。ですから、細胞や分子に異常があれば、受精や胎児の細胞増殖のレベルで異常を来たし、この世に生まれてこられないでしょう。つまり、細胞や分子の異常は病気とあまり関連してこないのです。

 多細胞生物の破綻は、調節系、防御系、循環系などのような、多細胞生物になってから新しくできた系統の破綻によって起こり、これらの異常がからだのあちこちの細胞を障害しているという形で起こっているものと考えられるのです。

 このように、トータルに行われている働きから病気を理解してゆくという流れが、人間の病気のメカニズムを解き明かしていくことになるでしょう。総合医学とか統合医療とかいわれる分野です。   以上です・・。

 

パソコン(検査)重視の医療現場から、問診重視の現場へと移行して頂きたい現状ではありますね。私たちのお勉強も必須ですが(笑)。中学、高校での授業には盛り込めそうもないので、やはり大人の学習が大事そうです。たいがい痛い目にあってからでしょうけどね。    温王子でした・・・