大腸 part2

痛みの原因のプロスタグランジンが出て腹痛が生じます。

 治療にはサラゾピリンやペンタサ、症状が改善されないときは、ステロイドを用います。これらの薬剤は炎症を抑えるので一時的に楽になりますが、同時に血流を止めるので病気の悪化の原因になります。

 症状はすべて治癒への反応ですが、消炎鎮痛剤、解熱剤、痛み止め、腸溶性のアミノサリチル酸などが阻害しています。炎症を悪いものと捉えて止める考え方では治療には限界があります。薬を止めるとリバウンドが起こりますが、着実に下痢の回数は減少します。副交感神経を優位にする努力が必ず症状を改善に向かわせます。ストレスを自覚できるとコントロールになり、いっそう治癒に向かいます。

 

 「虫垂炎」~交感神経緊張・副交感神経優位・血流障害~

 

 虫垂が炎症を起こした病気が虫垂炎、別名盲腸炎です。10~20代に多く、初期にはお腹や臍の周りの痛み、発熱、吐き気、食欲がないなどの症状があらわれます。痛みは体を動かすと強くなり、痛む場所は、徐々に右下腹部へ移っていきます。

 昔は盲腸になる人が多かったのですが、今は盲腸を手術でとったという話を聞かなくなりました。

 15~16年前に盲腸になった人の虫垂を切って顕微鏡で見てみると、腸の上皮にエントロウイルスがたくさん付着していました。エントロウイルスは腸に入り込んで寄生し、腹痛や下痢を起こす風邪のウイルスです。つまり風邪のウイルスが感染して炎症を起こし、虫垂炎が起こっているわけです。

 虫垂はリンパ球の塊です。初めはエントロウイルスとリンパ球の戦いになり、すごい炎症が起こり、副交感神経が強く刺激されて特有の反応のだるさが出ます。治る頃には自律神経の揺り戻しが起こって交感神経緊張になり、顆粒球による化膿性の炎症が起きて治ります。

 顆粒球とリンパ球のバランスがとれている人は、軽症のカタール性虫垂炎、お腹の調子が悪いとか、多少痛いとか、少し苦しいぐらいの軽症で手術することもなく自然治癒します。リンパ球比率の高い人は、中程度の蜂窩織炎性虫垂炎、顆粒球比率の高い人は重症の壊疽性虫垂炎が起こります。

 自律神経の傾きが、交感神経に傾いている人ほど、過剰な顆粒球の刺激で虫垂炎は重症になり腸壁が破れて腹膜炎を起こし、虫垂を切除する手術が多かったのです。副交感神経優位の人の多い今は、盲腸の手術の必要な人は、それほどいません。 

 人間の遺伝子は変わっていませんが、わずか50~60年で生き様や食生活の豊かさが、病気の質をすっかり変えてしまいました。

 

最後に安保先生らしい提言?をご披露して締めたいと思います。

 

 「生活の中での工夫」

 

 交感神経の緊張状態を副交感神経優位の流れに変えていくには、工夫が必要です。 働き盛りの年代の人は1週間に1度は早く家に帰る、ストレス解消の愚痴の多いお酒を飲むのではなく、おいしい物を食べてゆったりとお酒を楽しむ時間を持つ、暇なときには近くの温泉で温まるなど、いつもの生活行動に工夫しましょう。

 精神的には、「あきらめ」「でたらめ」「いい加減」を心の中に持ちましょう。すべて悪い言葉に聞こえるようですが、本当の意味は、諦めは明らかになった状態、悟りの状態です。でたらめは、さいころを振って出たとこ勝負の意味で、自分の手に負えないことは天に任せるという意味を持ちます。いい加減は「ちょうどいい」加減の意味です。 何が起ころうが、まず自分の運命として受け容れることができれば、感情は安定するはずです。

 人間関係でのストレスは上司と部下の関係でもない限りは、人を説得して自分の意見をなかなか通すことは難しい物です。好きで一緒になった夫婦であっても、いろいろなすれ違いが生じてきます。若い頃には、解糖系で自己主張をする世界ですから、ぶつかりあいますが、年を取るにつれてミトコンドリア系になり、相手の主張を認めながら調和をはかる世界に入ります。

 心の問題だけは自分で解決しなければ解消できないのですが、無理をして胸腺が縮まる生き方は避けるべきです。胸腺が委縮すると、お年寄りの古い免疫システムに移行してしまうからです。つらいことがあったら大泣きして涙と一緒に心の毒を排泄し、ひきずらないようにしましょう。副交感神経の反射で傾きがもとに戻ります。

 怒ることも憂うこともない、恨むこともねたむこともない穏やかな生き方が、じわじわと功を奏して長生きを可能にしていきます。 以上です・・。

 

いや~、安保提言・・お釈迦様かリーマンさん(いせはくさん)?はたまた或いは仏様か神様か?と王子には聞こえてきました!

 

次回は、沈黙の臓器:肝臓です。そろそろ臓器編も終盤です。毎度、お付き合いありがとうございます。  温王子でした・・・